ニンプ | はんなり時間

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好きなものについて。
本と、京都と、食と、cafeと、海と、旅と、沖縄と、家族とかについて。



どうでもいいようですが、
私が出産をしたとき、
生まれてきたかわいすぎる息子氏をみて
(今見返してみるとどうみてもガッツ石松なんやけどあのときはこんなにかわいい赤ちゃんが世の中にいるのかと震えた。)
言いようのない感動を感じたあとにそっこうで
「か、髪の毛が生えてる。。。!!」と、思いました。


もちろん個人差はありますが
うちの息子氏は結構髪がふさふさで生まれてきた。


考えてみてください
髪の毛ですよ髪の毛。
毛がはえてるんですよ。
自分の中に
自分以外の毛が生えた生き物がいたなんて!!
きっとおなかの中で髪の毛がゆらゆらゆれていたわけですよ!!
そ、それなんてホラー!!


いや、
わたしはつわりがつらかったこともあって、
なんというか体がもう自分じゃなくなったみたいに感じていて、
自分の中に心臓が動いている赤ちゃんがいるなんて
私ってなんてエイリアン。
と、つねづね思っていました。


自分が二つの心臓を持ってるなんて!
いやすごいよどう考えてもすごいニンプってまじすごい。


余談ですが、
つわりがきついお母さんっていうのは、
結構アクティブな人が多いという説があるそうです。
おなかの中の赤ちゃんが、
「うちのおかんはつわりにでもしとかへんかったら、
この大事な妊娠初期にも無理しまくるにきまってる。
つわらせといて、無理のきかへん体にしておこうくっくっくっ。」
っておかんをつわり地獄に陥れるらしい。
それに関してはいつか息子氏によく言って聞かせようと思います。
そんなことしなくていいからわかったからふざけるな(はーと)と。


と、言ってはみましたが、
つわりで四ヶ月間廃人にさせられたわたしは、
少し落ち着いてからというもの、
いやぁほんとうによく食べよく遊びました。
楽しかったなーニンプ後期♡


特に産休に入ってからの二ヶ月!
もうねここぞとばかりに遊びほうけたね!
だって二ヶ月のお休みなんて初めてやったんやもん!


とにかく美味しいものをたくさん食べておきたくて、
重たいおなか抱えて坂道をえいやこら登って椿山荘のアフタヌーンティーをお友達と食べにいったりとか
愛する丸の内ハウスで夜中二時とか三時まで夜遊びしたりとか
予定日一週間前に会社の先輩との飲み会にいったりとか
ある日突然ハーブを育ててみたくなって、
ホームセンターで土を五キロ持って歩いて帰ったとか(三日後に陣痛きた。)
あぁ楽しかった実に楽しかった!


だから私は世の胎児たちに声を大にして言いたい。
自分のおかんはほっといたら遊びほーけるから、
つわりにしてやろうくっくっくと思っているならそんなものはまだ甘い!
そういうおかんはつわりが落ち着いたらその反動で間違いなく後期に遊びほうけるから!
無駄な抵抗はやめて今すぐつわりにしてやろうなんてことはやめなさい!


そんなわけで、
私はエイリアンだわーうふふー!
とか言いながら、
後期のニンプ時代を結構おもしろおかしくすごしていました。
いやこれは悪い例なので良いニンプの
みなさまは決してまねしないでください。


そんなふざけたニンプの私でしたが、
息子氏を出産してから、
退院する日。
いつも会社帰りに、
おなかの中にいる息子氏と毎日毎日歩いた道をタクシーで通ったとき。
突然ものすごくさみしくなった。


これはほんとうに自分が出産するまでわからへんかった感情なんやけど、
十月十日、ずーーーっとおなかの中にあった命が、
急に外へ出て、
自分と別の命として人生を歩み始めるというのは、
もちろんすごくしあわせであると同時に、
とてもとてもさみしいものだったのです。


仕事でとんでもないトラブルにまきこまれて胃がきゅーってなったときも
お客さんのところへいってお金の話をしているときも
飲み会へいってがはがは笑ってるときも
オットとけんかしたときも
いつでもずっと私のおなかの中にいて
いつもいつも一緒だった存在。
それがもう私とは別個の人間として存在してる。
それは私にとって、
息子氏に初めて出会った瞬間であると同時に、
息子氏との初めてのお別れのような瞬間でもありました。
ぺたんこ(。。ではないけど厳密には)のお腹をみてほんとにさみしくなっちゃって、
おうちに帰るタクシーの中で号泣したことを覚えています。


子育てにはきっとこの先も、
こういうお別れの瞬間というのがたくさんあるんやと思う。
実際、超高速ずりばいが得意技やった息子氏の姿はもう見られなくて、
ハイハイをすることも急にかなり減ってきた。
24時間いつも一緒やった息子氏と、
夕方まで離れて私は自分の仕事、息子氏は保育園での生活が始まった。


こうして少しずつ少しずつ、
息子氏は私の手を離れていくんやと思う。
少しずつ手を離すこと、
それでも生きて行けるようにしてゆくことが、
子育てなんやろうと思う。


私のおなかから出て、
自分の足で地を踏んだ瞬間、
それは私の人生ではなくて息子氏の人生になった。
これからのしあわせは息子氏が自分でつかんでいくものやし、
きっと私はそのほんのちょっとの手助けしかできひんねんやと思う。


でも、
それでも、
どれだけ手が離れていっても、
いつまでも、
私は息子氏の味方だよということだけは
伝えていきたい。
最高の味方でいてあげたい。
何かあったときに、
物理的になにかするわけじゃなくても、
自分の軸がちゃんとあるという自信につながる、
そういう芯のようなものでありたいなと思う。
そういう家族でいたいなと思う。


文字通り一心同体で過ごした
十月十日、
もう戻る事はぜったいにないあの毎日に感じていたことを、
できれば忘れずに、
息子氏の成長を見守っていきたいなあと思います。
あのときと同じように息子氏を守ることはもうできひんけれど、
人生でたった数ヶ月しか経験することのないあのエイリアン体験で得たものは
振り返ってみればとても大きかったと思うから。


そんなわけで
不良ニンプのおなかで育った息子氏は
めきめきとたくましく成長中です。
毎日毎日ほんと楽しそうにたくさん笑っている息子氏を見ていると、
こんな世の中も悪くはないんやろうなって心から思う。
子どもは希望です。
だから声を大にしていいたい。
つわりなんて無駄な抵抗はやめて、
すくすく育て世の胎児たち♡